タイトル
老公(里見浩太朗)一行は金谷宿のはずれで、宿場の悪若造にからまれている武士の子を目にする。その場をひたすら我慢で切りぬける少年の姿に、一行は何か仔細があるのではないかと感じるのだった。その時、増水した大井川が川留めになったと知らせる板木が鳴り出す。仕方なく一行は旅籠を探し、相部屋ではあるが部屋を確保した。すると、先ほどの武士の子が声をかけてきた。その子は名を榛名賢太郎(平岡拓真)といい、宿がとれないため一緒に泊めてもらえないかと懇願してきたのだった。しかし夜明けに、賢太郎は厠へ行ったままいなくなってしまう。お娟は、賢太郎と宿で一緒になった娘・おきみ(松下萌子)がご法度の川留め破りの話をしていたことを老公に話した。
後を追ってきた助三郎(原田龍二)は、賢太郎とおきみを見つけ、二人に事情を聞いた。おきみは相賀にいる母に一刻も早く火傷の薬を届けに、賢太郎は神座へ父を探しに岡崎から来たという。賢太郎の父・庄治郎は公金横領の罪で逃げているが、最近になって無実だと分かった。そして、病が重くなり父に会いたいと思っている祖母のために、一刻も早くそのことを知らせようと必死であった。賢太郎の気持ちを察した助三郎は、川留め破りを手助けし、その後も父親探しに付き合うことにするのだった。
神座で父を見つけることのできなかった賢太郎と助三郎は、その先の相賀へと向かった。二人はまず手掛かりを得ようと庄屋へ行くと、何やら騒ぎが起きていた。庄屋の後を追うと島田代官所の手代・堂崎勘造(内田勝正)の指図で、役人たちが種籾の入った米俵を強引に運び出していた。すでに年貢は納めているのに、この上種籾まで取り上げられてはたまらないと庄屋や百姓たちが必死で抵抗すると、堂崎の用心棒である叶源四郎(三浦浩一)が出てきて、百姓たちを刀で脅したのだった。叶を見た賢太郎は父であると確信し、名乗り出るが、叶は人違いであると突っぱねた。
賢太郎はその姿に腹立たしく、つかんだ砂を投げつけた。すると、その砂が通り過ぎようとした役人の足許にかかってしまい、二人は追われることになってしまう。その場から逃げた二人だが、賢太郎は途中おんぼろの納屋を見つけ身をひそめた。すると、金谷の宿で会ったおきみが現れた。二人は突然のことに驚くが、賢太郎は父のことを涙ながらにおきみに話すのだった。事情を聴いたおきみは、賢太郎に父上にはきっと事情があるのではないかと話す。その時、おきみの母親・お近(小柳友貴美)が顔を出す。賢太郎が目に入るも、早く薬を塗ってくれと自分の事だけで、おきみをせかす様子に本当の母親かと思う賢太郎であった。
川留めが解けて島田にやってきた老公たちに、助三郎は今までのいきさつを話した。庄治郎が叶源四郎と名を変え堂崎の用心棒をしていたことや、強引な年貢の取立てが行われていることなど、助三郎は何かからくりがあるのではないかと推察したのだった。そして、弥七(内藤剛志)の調べで、堂崎は隣り領の田中藩の勘定方・栗山九兵衛(柴田侊彦)が横流しした藩米の都合をつけるために、百姓から米を取り立てていたことがわかった。さらに、道崎は栗山の弱みに付け込んで売り渡し金を釣り上げ、私腹を肥やそうという企みであった。そこで老公が一計を案じる。東海道でその名を知られた大泥棒・黒霧の弥左衛門が代官所の米倉を襲うということを村中に吹聴し、その噂を聞いた悪党たちを一堂に集めようというものだった。
賢太郎は、おきみの励ましで再度、叶に会うがまたもあしらわれ、岡崎に帰ろうと決意したとき不注意で足をくじいてしまう。おきみとお近が手当てをするが、前に会ったお近とは違い優しい母親だと思う賢太郎におきみは、「うちのおっ母さんいいところあるのよ」と笑うのだった。
老公一行が黒装束に身を包んで、代官所の米倉へ。倉の扉を開けた時、予想通りに堂崎をはじめ栗山たちが、老公一行を囲んだ。役人たちが老公たちを取り押さえようと乱闘になり、堂崎が短筒で老公を狙うが叶が前に立ちふさがり止めるのだった。老公は、堂崎や栗山の悪事を明るみにすると、自らの罪を話す叶に、その罪だけでなく賢太郎への仕打ちを厳しく糺した。叶はけじめをつけようと、脇差で自らの腹を刺そうとしたところ、賢太郎が供に償う、血のつながった親子だと必死で止めに入った。老公は、叶に賢太郎を抱きしめてあげるよう言い、二人は親子の絆を確かめ合うのだった。
ストーリー
ゲスト
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