

助さんに見た父のおもかげ(富山)11月15日(月)放送
水戸老公(里見浩太朗)一行は富山に着いた。そこで茶店の店主から体の弱い息子のために毎日寺に参っているという城代家老・土井久左衛門(綿引勝彦)の話を聞く。一行とは別に、為替を受け取りに行っていた助三郎(東幹久)は、大金に目を付けたごろつきに襲われる。偶然居合わせた少女・お花(小林里乃)をかばったために助三郎は怪我を負い、金を盗まれてしまうのだった。
一方、一行は為替を持った助三郎が来ないため、宿賃が不足して旅籠を追い出され途方に暮れていた。そこへたまたま通りかかった薬種問屋の布袋屋五兵衛(岡本富士太)に声を掛けられ、一行は好意を受けて店に世話になることになった。その頃、怪我をした助三郎はお花とその祖父で猟師の嘉吉(小松政夫)が暮らす小屋にかくまわれていた。嘉吉は熊撃ちの名人で、薬の原料となる熊の胆(くまのい)を売ってお金に替えていた。老公のことが気に掛かる助三郎であったが、山で命を落とした父親の面影を自分に重ねるお花を放っておけず、傷が癒えるまでのひとときを共に過ごす。
老公が布袋屋に店を案内してもらっているところへ、嘉吉が熊の胆を売りにやってくる。良質な熊の胆を獲るのは危険を伴う命懸けの仕事。だが、布袋屋はそれを驚くような安価で嘉吉から買い取る。買い叩かれたのではと心配する老公に、多くの人々の病を癒すためだと、文句も言わない嘉吉に老公は感心したのだった。楓(雛形あきこ)は快活な健康美を買われ、布袋屋を通して、城代家老・土井久左衛門の病弱な息子・千之助(寺尾由布樹)の専属の女中として雇われる。
弥七(内藤剛志)の調べで、布袋屋は自分に有益な相手には良質な熊の胆を用い、本当に薬を必要としている庶民たちには偽ったまがい物を売り、暴利をむさぼっていたことがわかった。さらに、町奉行の稲垣軍兵衛(桜木健一)と結託して、病弱の息子を気にかけている久左衛門に取り入り、薬の販売を独り占めしようと企んでいたのだった。
怪我が回復した助三郎は老公の元へと戻る。早速、布袋屋の悪巧みを止めるため助三郎は楓の兄を装って、千之助に近づき外へと連れ出した。部屋に閉じこもってばかりいた千之助は、病癒祈願のため寺に日参する父親の姿を目にする。そして、布袋屋がそんな親の過保護に付け込んで薬で恩を売り、庶民には偽物を売りつけていることに、愕然とする。
雨に打たれて帰って来た千之助は、高熱にうなされてしまう。だが、城代家老の跡取りとしての自覚を持った千之助は、布袋屋の薬を頑として受け入れない。稲垣は、さらに久左衛門に取り入ろうと、嘉吉から熱に効くという高価な熊の舌を手に入れるよう布袋屋に命じる。布袋屋の下で働く猟師たちは、嘉吉から熊の舌を強引に奪おうとする。抵抗した嘉吉は火縄銃で撃たれてしまうのだった。そこへ、お花にかんざしをあげようと助三郎がやってきて、嘉吉を助ける。老公は、このまま布袋屋たちの思うようにはさせまいと立ち上がった。
熊の舌を献上しようとした稲垣と布袋屋は、老公の仕掛けにはまり、久左衛門からの怒りを買う。老公一行は、庶民を救うための薬で暴利をむさぼる二人の悪事を明らかにしたのだった。老公の胸には、我が子である高松藩主・頼常の病気快癒を願う、久左衛門と同じ親としての思いがあった。だからこそ、政を行う者として身内だけでなく民のことも考える平等な目を持たなくてはいけないと久左衛門に厳しく諭すのであった。
