第1話
さらわれた黄門さま(琴平)2月14日(月)放送
水戸老公(里見浩太朗)一行は海運の要所、琴平に着いた。城下を歩いていた楓(雛形あきこ)は太助(浦上晟周)という少年に声をかけられる。母親の薬代が払えないから父親の左源太(高知東生)が担ぐ駕篭に乗ってほしいと言うのだ。楓が断ると、左源太は別の駕篭かきたちからバカにされ、喧嘩になる。楓は太助をかばい、騒ぎを治める。
城では丸亀藩城代家老の並木軍太夫(浜田晃)が、老公が忍び旅をしていると知らせを受けて、大慌て。配下の岡崎六右衛門(佐藤輝)に、老公を探し出して城へ招くよう命じる。老公に町を歩かれては都合の悪いことまで知られてしまう……並木は気が気ではない。
一方、料亭の布団部屋に泊まることになった一行は、座敷で派手に遊ぶ堺の廻船問屋・大海屋庄兵衛(逢坂じゅん)が羨ましい。そこへ、海賊の長・伝蔵(渡辺哲)が手下を引き連れて入って来た。乱暴を働く伝蔵に、仲裁に入る助三郎(東幹久)と格之進(的場浩司)。大海屋は助けてもらったお礼に一行をもてなす。琴平では、水軍としての働きを認められて瀬戸内を治めることになった海賊の末裔たちが、身を持ち崩して暴れているのだと言う。
伝蔵たちをつけていた弥七(内藤剛志)は、彼らが暴れている理由を知って同情する。実は、大海屋は瀬戸内海の取引を独占しようと丸亀藩に取り入り、藩命を用いて強引に海賊たちから船を取り上げていたのだった。船を奪われ陸に上がった海賊たちは貧しい暮らしを強いられており、船と誇りを取り戻そうと大海屋を追い出す手立てを考えていたのだ。
金比羅詣でに向かう老公一行に、太助が声をかける。老公は快く左源太と平吉(野本光一郎)が担ぐ駕篭に乗るが、不慣れな二人はあっちへフラフラこっちへフラフラ……。途中、茶屋で一服していると、太助が襲われている女性を見たと、助三郎と格之進を連れ出す。その隙に左源太と平吉は、老公と八兵衛(林家三平)に短刀を突き付け、連れ去ってしまう。茶屋へと戻った助三郎と格之進は、老公の姿がないことを奇妙に思う。そこへ「水戸の御老公を迎えに来た」と岡崎が手を付いて現れる。人違いだと誤魔化すが、岡崎はなかなか引き下がらない。助三郎は、老公らしき人を港で見たと嘘をつき、岡崎はそれならば既に琴平を後にしたはずだと安堵するのだった。
拉致した老人が水戸の御老公だと知った太助は、急いで家に知らせに帰る。太助の話を聞いた左源太と平吉は驚き、慌てて伝蔵に相談する。左源太の妻のおかつ(桜井明美)は、夫がとんでもないことをしてしまったとうなだれるのだった。
老公を探す助三郎と格之進は、弥七から旅人を狙った雲助が増えているという話を聞き、事の重大さを知る。楓は太助から、腕のいい船長(ふなおさ)だった父親が、今では人を騙したりしている。そんな父親を好きにはなれないと告げられ、力になるため老公の元へ案内して欲しいと言う。
仲間の漁師小屋を焼かれた伝蔵は、老公を人質にして藩と取引し、船を取り戻そうとする。老公は、その策では船を取り戻すことはできても全員に責めが及ぶと教えるが、左源太たちは死んでも構わないと立ち上がる。おかつは、自らの命を捨ててまで海に戻ろうとする男たちの愚かさに泣き崩れるのだった。夜、皆が寝静まった中、起き上がる老公。気付いた左源太は、そのまま逃げてもいいと言う。本当はこんなことをして藩を相手に闘うのは怖いのだ……老公は外に迎えに来ていた助三郎たちに、まだこの場を離れる時ではない、彼らを見捨てられないと、居残ることを決める。
伝蔵から「老公を人質に捕った」との書状が来た並木は、既に藩を離れたと報告していた岡崎に激怒する。大海屋は捕らえている老公は偽物だとして、海賊もろとも亡き者にしてしまえばいいと持ち掛ける。並木はその企てに乗り、伝蔵たちを城へ呼び出して一網打尽にしようと襲いかかる。騙されたと悟った竜二(香川耕二)は、老公に刃を向ける。すると太助が老公の前に立ちはだかり、「こんなことしちゃダメだ!」と小さな身体で海の男の誇りを見せる。心動かされる左源太。格之進は葵の紋を見せて老公が本物であると証明し、並木たちは観念するのだった。無事、船を取り戻した伝蔵たち。おかつと太助に見送られ、一行は左源太の船で琴平を後にしたのだった。