ストーリー
水戸老公(里見浩太朗)一行は、険しい山歩きで足をひきずる八兵衛(林家三平)を気遣って新宮で休むことにし、偶然通りかかった威勢のいい青年・松太郎(RIKIYA)に宿を紹介してもらった。新宮は材木や炭が集まる町で、それを運ぶ水夫たちで毎夜、喧嘩の祭りがあるほど賑わっていた。その喧嘩の祭りを止めに入ったのが、宿を紹介してくれた松太郎だった。そこへ、船主・源五郎(木村栄)の娘であるお佐和(井上和香)が現れ、止まらない喧嘩をピシャリと止めるのだった。お佐和は勝気で威勢のいい娘で、つい松太郎とは衝突してしまう。実はお佐和は、松太郎に恋心を抱いているも思いを伝えることができなかったのであった。一方、庄屋の息子・成松屋庄次郎(粟野史浩)は、お佐和を嫁にもらいたいと思っていた。しかし、お佐和は庄次郎に対し、嫁の話など知らないとはっきりと言うのだった。
船着場で熊野材を見物していると、見回りに来た材木役所の役人・塚原(左とん平)に怪しまれる。しかし、熊野材を褒めると途端に態度を変え熊野材の自慢をするのだった。そこで一行は松太郎とふたたび出会い、松太郎に船を案内してもらった。松太郎は、若くして大鷹屋という船主であり、この先船を増やして仕事を盛んにしたいと夢を語るのだった。その時、お佐和が松太郎を呼びにきた。すぐに庄屋へ向かってほしいのだ。話の内容は、藩の財政が逼迫し、収入を増やすために、船主の誰かから藩に運搬船を差し出して欲しいと庄屋に申し入れたのだった。当然、船主たちは首を縦にはふらない。
庄屋のお梶(長谷川稀世)が、船主から良い返事がもらえなかったという報告を城代家老の手島監物(近藤洋介)らに話をすると、心労からかその場で倒れてしまう。同席していた庄次郎は、この件は自分がなんとかすると言うのであった。庄次郎は松太郎に目を付け、城代家老の手島監物(近藤洋介)とその配下の小笠原(山本紀彦)、津田(由地慶伍)と結託し、松太郎の船を取り上げようと企てる。庄次郎の強引な手口に腹を立てた松太郎は庄屋へと直談判に行くが、そこで喧嘩になってしまい、藩に楯突いたと言いがかりをつけられ捕らえられてしまう。
弥七(内藤剛志)の調べで、騒動の発端である新宮藩の財政難は、本藩である徳川御三家のひとつである紀州藩の財政難によるものであることがわかった。翌朝、松太郎が捕らえられたことを知った人々が役所や庄屋へ掛け合うのだった。すると庄屋は役人を呼んだことで、掛け合った船主・水夫たちばかりか老公まで牢に入れられてしまう。このままでは、皆がばらばらになってしまうと源五郎が船を差し出すことを庄屋のお梶に申し出るが、どうにも出来ないとお梶も困るばかりだった。
弥七は、材木役人の塚原を牢に入った老公のもとへ連れてきた。老公は、秘かに印籠を見せ身分を明かし、城へ入った。塚原以外何も知らない役人たちは、老公たちを捕らえようとするも、老公は身分を明かし、手島に領民だけに負担を押し付けるのではなく、上に立つ役人が苦労すべきであると説いたのだった。役所からのお達しで、松太郎は急に牢から解き放たれることになった。庄屋のお梶は解き放たれた松太郎の元へ庄次郎を連れてきて、今回の庄次郎のやり方を謝るのだった。そして、松太郎を心配していたお佐和は安堵し、自分の素直な気持ちを松太郎に告げ、その場に居合わせた老公一行の後押しもあり、松太郎はお佐和と夫婦になることを決めたのだった。それを見た庄次郎は、その場を去ろうとすると、松太郎は今までのことは水に流してこれからは共に力を合わせることを約束するのだった。
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