隼斗（市瀬秀和）は大坂へ向かう途中、山の中で襲われている村人を助けた。すると突然、村人が無幻斎（大沢樹生）の手下へと変わって襲いかかり、隼斗は急所ははずしたものの深手を負ってしまう。無幻斎はさらにとどめの一撃を与えようとするが、村人が騒ぎ出したため、姿をくらましたのだった。

その頃、水戸老公（里見浩太朗）一行は、新吉（伊澤柾樹）の母親がいるらしいと聞いた大坂に着いた。江戸の事件で堺商人が死に際に言い残した「堂島」の正体をつきとめようとする老公、助三郎（原田龍二）、格之進（合田雅吏）と、母親を探す新吉、八兵衛（林家三平）、お娟（由美かおる）は2手に分かれ別々に行動することにした。老公たちは、寺子屋の子供たちから慕われている薬種問屋の商人・大舟屋長兵衛（松方弘樹）と出会う。世話好きで気さくな人柄は、老公とよく似ていた。顔の広い長兵衛に、薩摩藩について聞くと、近頃、薩摩藩の蔵屋敷で腕の立つ浪人を雇っているとの噂を聞き、老公は何やら不穏な動きを感じたのであった。

　薩摩藩の蔵屋敷では、留守居役・池田哲次郎（藤堂新二）が廻船問屋の伊豆屋の主人・彦蔵（佐川満男）を呼び寄せ、その仕事ぶりを見込んで藩の仕事を任せたいと声をかけた。商いを広げようとしている彦蔵は大喜びする。伊豆屋では、彦蔵の後添え妻のお松（青山倫子）が甲斐甲斐しく働き、店を助けていた。彦蔵の娘・お千代（里田まい）は、お松のことを未だにお母さんと呼べないままでいた。店に帰った彦蔵は藩の仕事を任されたことを報告し、皆で喜び合ったのだった。彦蔵と入れ違いにやってきた浪人姿に扮した助三郎は、池田に自分を用心棒として雇ってほしいと申し出る。助三郎は池田の配下・木俣武兵衛（大川竜之助）の前で控えていた侍たちを鮮やかに蹴散らす。それを見ていた池田は助三郎を雇うことにしたのだった。

　一方、新吉たちは伊豆屋に母親らしき人がいて、後妻に入ったという情報を聞いて行ってみるが、店の者に人違いだと言われてしまう。落ち込む新吉にお娟と八兵衛は本人に会ってみるようすすめる。ふたたび伊豆屋へ向かう途中で、お松に会えたが、お松は新吉は自分の子ではないと言い張る。新吉が母からもらったお守りを見せると、お松は激しく動揺したがすげなく追い返したのだった。傷ついた新吉はその場を立ち去ってしまう。お松は一人になった途端に泣き崩れ、お娟は陰からその様子を見ていたのだった。

傷を負う隼斗の元へ、またもや無幻斎の手下がやってきて襲いかかる。思うように体が動かない隼斗は窮地に陥るが、弥七（内藤剛志）が現れ隼斗を助けた。

その頃、池田に呼ばれた彦蔵は薩摩からの積荷を横流しする手伝いをするようを打ち明けられる。彦蔵は断ろうとするが、池田たちに店を潰すと脅され断ることができなかったのだった。

お娟からお松との事を聞いた老公は、長兵衛に頼んで伊豆屋を紹介してもらう。そこで老公はそれとなくお松に、新吉の望みは親子の対面を果たしたいだけであることを伝えた。老公の話を聞いたお松はいてもたってもいられなくなり、新吉に会いに行く。そこで、老公に新吉と離れ離れになった事情や彦蔵への恩義で母と名乗れぬ切ない心情を明かしたのだった。老公は、彦蔵は隠し事を望んではいないと言い、お松によく考えるよう諭したのだった。

互いに悩み事を抱える彦蔵とお松は、意を決して真実を話した。するとお千代が、彦蔵には仕事を断るように、お松には新吉を連れてくるように言い、家族の絆の大切さを語るのだった。お松は新吉に会いに行き、今までのことを詫びるが新吉は、母を許そうとせず追い返す。しかしお松に抱きしめられると、母の胸で泣きながら会いたかったと本心を伝えるのだった。

彦蔵が池田に仕事を断ると、池田はお千代のかんざしを見せ、お千代を人質にしたことをほのめかした。その頃、蔵の見張りを任されていた助三郎は、蔵に閉じ込められたお千代を救い出そうとするが木俣に見つかってしまう。老公が現れるが人質を取られているため手出しができない。その様子を陰から見ていた弥七と隼斗が連携をとって人質を救い出し、老公は池田の悪事を暴いた。池田が事の真相を語ろうとしたとき、木俣が突然池田を刺す。その木俣の正体は、妖術で変身した無幻斎であった。不気味な事件の幕切れに老公は決着をつけるべく、家族と暮らすことになった新吉に別れを告げ、薩摩へと旅立ったのだった。