水戸老公(里見浩太朗)一行は下田へ。一行は船人足の太吉(石本興司)とお君(木内晶子)夫婦と知り合った。お君に子どもができたことが分かり、太吉は喜ぶが、それ以上に夫婦の近所に住むひとり者の留吉(石倉三郎)がうれしそうだ。

夫婦にはすでに両親はいない。しかし太吉は、留吉の日頃からの自分たちに対する優しさから、留吉こそがお君が幼い頃別れたままになっていた実の父親・竜三ではないかと思っていた。太吉が折をみて留吉に父親であるかと聞いたところ、曖昧にうなづいたのだった。

そんなある日、太吉の家に大金が入った袋が投げ込まれた。太吉が奉行所へ届けようと考えていた矢先、役人が太吉の家に押しかけ、太吉は事情を話す間もなく盗みの罪で捕らえられてしまう。実は、与力の村野伝四郎(磯部勉)と廻船問屋の黒松屋(森次晃嗣)は、大店の駿河屋(森下哲夫)を失脚させようと企んでいた。黒松屋は駿河屋の蔵から献上品の絹織物を盗み出し、駿河屋を陥れようとする。太吉はそのために献上品を盗んだ罪人に仕立てられてしまったのだ。

幸せの絶頂から突き落とされたお君を留吉が慰める。留吉は太吉を救うため、自分が金を盗んで太吉の家に放り込んだと奉行所に名乗り出たのだった。しかし村野は2人ともまとめて亡き者にしようとしていた。そこへご老公一行が現れ、村野たちの悪事を暴いたのだった。

無事に太吉たちの濡れ衣が晴れ、お君は留吉に一緒に暮らそうと誘った。しかし翌日、留吉は置手紙を残してお君たちの元を去ってしまう。手紙には、自分はお君の本当の父親ではないという事実が書かれてあった。お君は留吉が実の父親でないことに気づいていたが、留吉を本当の父親のように慕っており、心から一緒に暮らしたいと思っていたことをご老公に話した。すると外では、弥七(内藤剛志)が留吉を連れ戻しており、留吉はお君の本当の思いを知り、涙したのだった。