水戸老公(里見浩太朗)一行は、和歌山で紀州徳川家の若様、源六(柳沢太介)と出会う。源六は、四男坊の役立たずと陰口を言われ世をすねて、自分は不要な存在であると自暴自棄になり、勝手気ままに城を飛び出しては人々に迷惑をかけていた。お守り役の岡崎藤兵衛(近藤洋介)もほとほと手を焼いている。そんな源六を老公は若い頃の自分と重ね、気にかけていた。

そんな折、老公は源六を城の外にある道普請の現場に誘う。そこでは半年前の洪水で家を無くした貧しい人々が人足として働き、過酷な労働を強いられていた。勘定奉行の林田頼母(伊吹剛)が材木商の南斗屋(大月秀幸)と結託して人足たちの手間賃をごまかし、私腹を肥やしていたのである。人足小屋で同じ年ほどの娘・おみねや弟の市太郎と出会い、彼女たちに貧しい暮らしを強いる役人たちに憤りを感じたのだった。

源六は老公や格さん(合田雅吏)、新助(松井天斗)、そしておみねの母・おとき(長谷川真弓)や清吉(大川竜之助)たちと共に普請場で働き、さらに人々の苦しみを目の当たりにする。幼い市太郎は源六を神の使いと信じ、頼りにしていた。そんな市太郎の思いを受け、正義感に燃える源六は不正を働く役人たちを成敗すると息巻く。しかし、老公は悪事の証拠をつかむことが先決だといさめるのだった。

そして普請場で役人の悪事の証拠を掴んだ源六は、怒りを抑えられずその場で役人に掴みかかったのだが捕らえられてしまう。しかし捕らえられてもなお、ひるむことなく、悪人に抵抗し続けたのだった。

一方、お娟(由美かおる)の調べで林田たちが二重帳簿を作り、悪事を隠していることが分かり、老公一行は捕らえられた源六を救い、地の人々のために悪を裁く。そして自らの今までの愚行を恥じた源六の成長ぶりに安堵し、和歌山の地を後にしたのだった。