淡路島へ到着した水戸老公(里見浩太朗)一行。遊んでいる最中に火傷を負った勘太(土井洋輝)に志保(小沢真珠)が手当てをした縁で、勘太の父が座頭を務める淡路人形浄瑠璃の一座と出会う。勘太の父・庄太夫(佐戸井けん太)は妻を亡くしており、勘太と二人家族だという。ふたりのことは、最近一座に裏方として入ったおすず(比企理恵)が世話をしている。勘太はおすずを母親のように慕っていた。

あるとき、志保が浪人にさらわれるが、弥七(内藤剛志)によって志保の居場所をつきとめ、助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)によって無事助け出された。浪人たちは、医者である洞碩(どうせき)の妻を探しているようで志保とその女を間違えていたようであった。しかも浪人たちは、大切な書状を探している様子だった。志保はかつて勘太の火傷の経過を見にいった時、おすずの手当てを見て、彼女には医学の心得があるのではないかと思っていた。それを聞いた老公は、浪人たちが探しているのはおすずではないかと検討をつけ、弥七に調べさせる。

弥七によると、半年前おすずの夫である、洞碩(どうせき・中根徹)は刀傷を負った瀕死の侍を治療したところ、その翌日、突然押し入った浪人に侍もろとも切り殺されていたことが分かった。おすずはその時、侍が持っていた書状を携えて逃げた。その書状には、城代の大谷主水(千波丈太郎)が商人の岩戸屋(笠井一彦)と手を結び、特産品の藍を横流ししている悪事について記されていた。大谷が人形浄瑠璃を見物することを知ったおすずは、一座に紛れ込み、夫の恨みを晴らす機会を狙っていたのだった。

大谷が鑑賞する浄瑠璃芝居が始まった。すべてお見通しのご老公は、おすずが大谷の酒に毒を仕込もうとしたところに現れる。例え、おすずが大谷を殺しても、人の命を救う仕事をしていた夫は決して喜ばないのではないか、それより大谷の悪事を暴いて裁きにかけるべきだといさめる。その言葉におすずは意を決し、復讐ではなく正義への道を選ぶのだった。