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第1話
死ぬ気で生きろ!(丸岡)11月29日(月)放送
丸岡に着いた水戸老公(里見浩太朗)一行は酩酊した男に出会う。浴びるように酒を飲み続けるこの男は、当代随一の浄瑠璃作者・近松門左衛門(松尾貴史)であった。だが、どうやら新作への意欲が湧かないらしい。ひどく自信をなくしている門左衛門の様子が老公には気がかりであった。
その頃、楓(雛形あきこ)は城代家老の乗った駕籠が襲撃される現場に居合わせ、巻き込まれる。頭巾姿の一団に襲われるが、間一髪で弥七(内藤剛志)が助けに入り、その後二人は不穏な動きの正体を追うことにした。
酩酊状態の門左衛門は井戸の水を飲もうとして倒れ、羽二重の織り子・しのぶ(中原果南)とその息子・竹松(福田七聖)に介抱される。しのぶは羽二重問屋の大垣屋(朝倉伸二)から後添えにとの申し出を断ったため、嫌がらせを受けていた。心配する竹松は、いつも自分たちのことを気に掛けてくれる寺子屋の先生・狩野佑之進(大浦龍宇一)と母との仲を取り持ってくれるよう門左衛門に頼む。門左衛門は、既に二人は思いを寄せているようだと見抜き、しのぶと佑之進は、大垣屋の目の届かない新しい土地で一緒に暮らしたいのだと告げる。二人の決意に感動した門左衛門は、故郷の鯖江の知人を頼るよう紹介し、門出の餞としたのだった。
一方、老公は弥七と楓の調べで、丸岡藩の城代家老・波多野荘兵衛(高橋長英)と家老・中条主計(片桐竜次)が先を争って、行方不明になっている側室とその息子を探していることを知る。老公は、身分を明かして波多野に事の真相を尋ねに行く。中条は藩の実権を握るために、今ある嫡子を退けて側室の子を世継ぎにまつり上げようと企てているという。そこへ、とうとう中条らが側室を見つけたという知らせが入る。老公はすべてを自分に任せるよう言うのだった。
助三郎(東幹久)と格之進(的場浩司)は、中条の腹心である黒須仙造(渡浩行)の後を追い、しのぶの家へと辿り着く。黒須は、藩の大事のため側室の証として殿から拝領した短刀を見せて欲しいとしのぶに迫る。短刀さえ手に入れば、あとは嫡子の鶴丸としのぶを亡き者にして、自由に竹松を操り藩政を牛耳ることができる。藩の大事と聞いて動揺したしのぶは、短刀を黒須に委ねかけるが、その魂胆を見抜いた門左衛門は、「短刀はお殿様の子という大事な証拠。一刻かて手放してはあかん!」としのぶを説得し、黒須を追い返す。思いがけないところで門左衛門と再会した助三郎、格之進は、老公にこの一件を相談する。
佑之進も竹松も、しのぶが側室であると知って驚きを隠せない。城で御家騒動が起こっていると知ったしのぶは、血で血を洗う悲惨な家督争いに巻き込まれれば、自分たちも無事では済まないと悟る。そして、竹松と佑之進の親子三人で心中しよう、という悲しい選択に迫られる。恐怖を堪え健気に受け止めようとする竹松。だが、しのぶはなかなか刀を入れることができない。家に駆け付けた老公は、その様子に驚いて止めに入ろうとする。が、門左衛門はそれを制し、涙ながらにしかし鋭くその光景を見守る。しのぶの代わりに、佑之進が刀を抜き、まさに心中を図ろうとしたその寸でのところで、ようやく門左衛門が仲裁に入り、老公に行く末を託す。証拠の短刀を見た老公は、にっこり笑うと「明日は安心してお城に参りなさい」と励ます。
城へ出向いたしのぶと竹松。中条に言われ短刀を差し出すと、それは『葵御紋』の短刀であった。老公が一泡吹かせるために、短刀をこっそり自分のものとすり替えていたのである。動揺する中条たちの元へ老公が現れ、すべての悪事を明るみにしたのだった。さらに老公は、しのぶたちが自由に暮らしていけるよう配慮すると約束する。一方、門左衛門は、死を覚悟した親子三人の姿に心打たれて再び物語を紡ぐ意欲を取り戻す。この稀代の浄瑠璃作者・近松門左衛門は、こののち『曽根崎心中』をはじめ数々の名作を著すことになる。老公は、門左衛門の新作への期待を胸に旅立ったのだった。