

鳥羽に着いた水戸老公(里見浩太朗)一行が、屋台で鳥羽名物の海産物に舌鼓を打っていた。すると、そこへ汚れた身なりの娘・お勝(小林さり)がやってくる。老公がお勝に御馳走していると、横を若い娘と男が蔵田屋へ行くと話しながら通り過ぎた。その話にお勝は、自分も蔵田屋に用があるのを思い出し、その場を後にした。蔵田屋は、海産物問屋を営んでおり、大旦那の徳右衛門(鶴田忍)が二十年前に手代と駆け落ちをした愛娘が産んだ孫娘を探しているという。その話に多くの娘が名乗り出ているが、そのほとんどが財産を目当てのにせ者であった。お勝も蔵田屋へと行くが、身なりが汚いことを理由に門前払いされてしまう。
門前払いを受けたお勝を見かけた老公が、お勝から話を聞くと、母親が亡くなる前に自分は鳥羽の蔵田屋の娘であると言ったという。しかし確固たる証拠が無かった。だが、老公はお勝が財産目当てでなく、母の幼い頃育った場所を見たいという純粋な思いを聞いて、お勝の言葉を信じ、応援することにしたのだった。
蔵田屋の孫探しの裏では、番頭の多岐蔵(大村健二)と鳥羽藩家老の漆原玄左衛門(立川三貴)が結託し蔵田屋を乗っ取り、その金で浜辺一帯に遊郭を造ろうと企てていた。さらに、漆原とつながっていた無幻斎(大沢樹生)が、二人に手を貸すと申し出るのだった。そして無幻斎は、浜辺の漁師たちを強引に立ち退かせるため、呪術で浜の小屋に火をつけた。偶然通りかかった弥七(内藤剛志)は小屋が焼けているのを見て、家の中に取り残された老婆を助けた。漁師たちによると、蔵田屋の仕業であるという。弥七はすぐさま、この一件を老公に知らせた。
お娟の見立てで美しい娘に姿を変えたお勝は、改めて老公、お娟と一緒に蔵田屋へ向かった。吟味を重ね、最終的にお菊(宮地真緒)という娘とお勝が孫娘候補として残った。徳右衛門から、娘の幼少の時代について問われるが、お菊もお勝に一歩もひけをとらずに答えるのだった。徳右衛門にも、お菊とお勝のどちらが本物であるのか見極められずにいた。お菊は徳右衛門に取り入ろうと、好き勝手なことを言って情に訴えた。すっかりお菊の話を信じてしまった徳右衛門は、お菊を本物の孫として認めるのだった。
その頃、お勝の後見人として蔵田屋にいた老公は、別室へと呼び出される。しかし、それは無幻斎の罠であった。罠だと気づいたお娟は、老公の元へ急ぐと、そこには東条隼斗(市瀬秀和)が無幻斎と対峙していたのだった。
弥七の知らせにより、お菊は漆原たちによって仕組まれた娘であることがわかった。そして、お勝が新吉(伊澤柾樹)のために歌っていた子守唄を聞いて、老公はこの唄が蔵田屋の孫娘である証拠になると確信するのだった。
一方、蔵田屋では、徳右衛門がお菊に昔自分が娘に歌って聴かせていた子守唄を歌うように言うが、お菊は歌えずに本性が出てしまうのだった。そこへ多岐蔵と漆原が現れ、二人の企みを知った徳右衛門を亡き者にしようと襲いかかる。だが、そこへ老公が現れ、漆原らの企みを厳しく問うのだった。その後、お勝は徳右衛門の前で子守唄を歌い、徳右衛門も実の孫娘との再会を喜ぶのだった。
