岐阜へと着いた水戸老公(里見浩太朗)一行。まずは名産の岐阜提灯を作る作業場を訪ねる、そこで提灯の金具を作る錺(かざり)職人・圭造(峰岸徹)と圭造の息子・金太(若林久弥)に出会う。金太は父親である圭造の下で見習いとして働いていた。

ある日、圭造のかつての盗賊仲間の亥之吉(伊藤高)が訪ねてくる。圭造は器用な技を使いどんな鍵でも開ける名人だったが、今はすっかり足を洗っている。亥之吉は藩の御用金が眠る開かずの蔵を開けてほしい、と圭造に持ちかける。もちろん圭造はきっぱりと断ったのだが、金太に圭造の過去をばらすと脅したのだった。実は、圭造と金太は本当の父子ではないのだが、金太はそのことを知らなかった。

亥之吉に開かずの蔵を開けるよう指示したのは、勘定方役人・増岡藤五郎(青島健介)だった。家老の筒井平太夫(波多江清)が米相場に手を出して失敗し公金を使い込んでしまい、その穴を埋めるために蔵に隠された金に目を付けたのである。その蔵の鍵は亥之吉の手には負えず、亥之吉は圭造に話を持ちかけたのだった。

そんな折、体調が優れない圭造を心配した金太は、高麗人参を盗もうと藩の薬草園に忍び込み捕らえらてしまう。亥之吉はこれを利用し、圭造に金太を助け出すのと引き換えに蔵の鍵を開けさせた。その上亥之吉は、圭造を盗みの世界に戻すため、金太との仲を引き裂こうと過去をすべてばらしてしまった。金太は自分の本当の父を圭造が殺してしまったという事実を知ってショックを受ける。しかし、圭造が今までに自分を大切に育ててくれたことを思い出すのだった。

蔵の金を運び出そうとしたところへ、筒井と増岡の一味が圭造たちを襲う。筒井たちは亥之吉たちを口封じのために殺してしまおうと企んでいた。しかし、すべてを見通していた老公は、筒井らの企てを止め、藩公にその処遇を委ねた。そして“罪は罪”と圭造にも、かつての罪を償わせたのだった。