京に向かう竹林に霧の中から御行の又市が現れる。
町では、尾張・近江で連続して起こった辻斬りが、ついに京の都にも
現れたと話題になっていた。
西町奉行所につとめる乾勘兵衛は、辻斬りの足跡と足取りが一致する
ことから能楽師の市村松之輔を犯人とにらみ、後を追い阿波へと向かう。

芝右衛門は阿波の宿屋の隠居した好々爺で、息子夫婦と孫に囲まれ
幸せな生活をおくっていた。
芝右衛門は特に孫のていを可愛がり、今日も「幽霊狸の話」を聞かせては
孫との触れ合いを楽しんでいた。
通りすがりに「幽霊狸の話」を聞いた山岡百介は、諸国の怪談奇談を
聞き集める戯作者だが、話に興味を示す。

一方、阿波にもどった松之輔一座は、尾張藩・次席家老服部の命を受け、
素姓を知らぬさる御仁を預かることになり、屋敷の離れにかくまうの
だった。
そこに山猫廻しのおぎんが、松之輔の屋敷に病人を装い潜り込む。
そんなある日、辻斬りの魔手は芝右衛門の家族に向けられる。
孫のていまでも失ってしまった失意の芝右衛は、
自分と同じ名前を名乗るもう一人の芝右衛門と出合い、元気づけられる。
もう一人の芝右衛門は言う。
辻切りの正体 は阿波の狸合戦で裏切り、逃亡した狸であると……。


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