江戸一番の豪商、福乃屋主人・富蔵は、
不気味な渡り御行から不吉な予言を受ける。
まったく意に介さない富蔵をよそに、福乃屋周辺では妖怪変化が出没。
福乃屋化け物騒ぎは江戸中の評判となる。
騒ぎ続ける奉公人、用心棒達の姿から、
商いに差し障りがあると判断した福乃屋番頭・庄吉は、
戯作者京極亭と縁続きの、高名な憑き物落とし-陰陽師・中禅寺洲斎を雇い入れる。
実はこの妖怪がまつわる全ての怪異は
御行の又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平、算盤の徳次郎による「仕掛け」であった。


陰陽師・中禅寺洲斎は
「-この世に不思議なことなどあろうはずもない」と言い放ち、
怪異の起きた場所を検分。全てが人為的な現象であると断言する。
安心する奉公人、しかし全ての怪異をあざ笑っていた福乃屋用心棒・風見一学は
どうしても心の隅に残る不信感をぬぐい去ることができないでいた。
彼は見るはずの無いものを確かに見たのだった。
又市に仕掛けを依頼したのは、今や落ちぶれた両替商・叶屋幸左衛門であった。
幸左衛門は又市に、かつて叶屋の手代であった福乃屋・富蔵から
<箱>を奪い返してくれるよう依頼する。
福乃屋・富蔵の隆盛はその<箱>を叶屋から盗み出したことから始まったという。

<箱>を持つ者が富み、失った者が没落する…。
又市から話を聞いた戯作者・山岡百介は半ば冗談で、
福の神でも入っているのかと言う。
福乃屋化け物騒ぎが人の仕掛けであると判明し、騒ぎも落ち着いたかに見えた中、
ただ一人もののけの影を見続ける男がいた。
福乃屋の用心棒・風見一学であった。
彼は福乃屋の憑き物落としを辞退した陰陽師・中禅寺洲斎の妻・すず殺しを
福乃屋から依頼される…。
又市は福乃屋から<箱>を奪い返すことができるのか。
<箱>の正体とは…。


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