原口智生1960年生まれ。学生時代より人形師・川本喜八郎に師事。
造形工房モンスターズを経て'84、特殊メイクアップ工房FUNHOUSEを設立。
「帝都物語」、「ガメラ」シリーズ、「HANA-BI」等、50以上の作品に参加。
現在は中洲プロを主催。

No.1  Introduction~京極夏彦「怪」そして「さくや」
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今回は原口さんにお話しを是非ということで。
今はじゃあ、CALのサイトをやってるの?
そうです。
今は「水戸黄門」とか「木枯し紋次郎」とかのコンテンツを準備してるんですけど、
今のところは「怪」だけが稼働しているという状態で…。
「怪」メインでCALサイトを盛り上げて、
ゆくゆくは水戸黄門とかを全部バックアップしていけたらなと思ってるんです。

石坂浩二さんになるんでしょ。
ええ。でまあ「怪」を中心として、時代劇のムーブメントを
作っていけないかなというところでサイトを立ち上げたんですけれども。
僕なんかもあまり最初は時代劇ってものを意識して見てはいなかったんですけれど、
よくよく意識して見てみるとすごくおもしろいんですよね。
原口さんのロフトプラスワンのトークライブ、
「怪」と「さくや」のお話なんかも聞かせてもらいに行ったんですけれども、
ちょっと僕らの思っていた時代劇っていうのとは
違うんじゃないかっていうのがだんだん見えてきて。

それはまあ、時代劇って言ってもいろいろありますもんねえ。
まあ若い世代の人たちなんかには、時代的にはっきりしなくなってくる部分もあったり…。
もはやイメージすら出来ない人もいたりして。

え?いくつなの?
20代ですよ。
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まあ、若い人でも時代劇、濃い人は濃いけれどもね。
でも僕らのような世代にとってみれば、新発見っていうのは大きいと思います。
僕は、東京出てきて深夜に「眠狂四郎」とかTVでやってるのを見て、
はじめて時代劇っておもしろいなって思ったんですよ。

僕なんか、はじめは「隠密剣士」だもんね。
「座頭市」の前半はだいたい劇場で観てるっていう…。

お幾つくらいの頃ですか?
「座頭市」の最初は幼稚園の終わりくらいでしたね。
「破れ!唐人剣」とかはどうですか?
それも映画館で見たね。ビデオも持っているし。なんか海賊版の汚い画のやつを。
CSでやってましたよね。
ネコとか時代劇チャンネル、いいらしいね。
「憲兵とバラバラ死美人」とか。でももうすぐキネマクラブとかで出るんじゃないかな?
プリントの整理して、ソフト対応で出るもんね、最近ね。
「女吸血鬼」とか。知ってます?「女吸血鬼」とか。

すいません、ちょっとわかりません。
じゃあどっちかっていうと特撮系がもともと好きなの?
そうですね、特撮系だったら大体頭の中で系譜とかわかるんですが。
でも、あれでしょ、ちょっと違うでしょ?
うちらと作品的に見てるものとか。どのへんがメインになるの?

時代劇だとTVがメインでしたし、特撮ものだと宇宙刑事物とかがメインですね。
戦隊ものだと「ジャッカー電撃隊」あたりですね。「ゴレンジャー」にぎりぎり間に合わなかったっていう…。
あとは古いものとか周りから借りたりして、まあ70年代頭くらいからっていう感じですね。

「キョーダイン」とかそういう感じ?「イナズマン」とか…。
そうですね。石ノ森ラインのやつとか。
僕、でも、その頃はもう仕事してるからね。
「ロボコン」「コンドールマン」「ズバット」「キョーダイン」とかあのへんもう仕事してるもん。
「ロボコン」の飛び人形つくったりとかね。
でもまあ「ロボコン」は放映期間が長いから最初のパイロットの時じゃなくて途中からだと思うけど。


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ああいう飛び人形とかたまに変わったりするんだよ、つくりとか。
「コンドールマン」とかもやったし。

流れとしては「コンドールマン」っていうのは、「レインボーマン」とかの流れですか?
流れとしては「月光仮面」からなんだけど。
「レインボーマン」って国際放映で撮ってたのね。
「ダイヤモンドアイ」とか。で、「コンドールマン」は東映。
アイ企画って川口さんの会社が
子供向けで最初にやったのが「コンドールマン」だよ、たしか。

怖かったですよね、「コンドールマン」は。
やってたけどあんまし見てないんだよね。
ゼニクレイジーとかそういうメインのやつを作ったり。
CALは子供向けって作ってないの?

「走れK-100」とかですね。
ああ、そっか。
昔TV映画の会社がいっぱいあった頃はいろんな種類の番組あったんだけどね。


------(原口氏の飼い猫登場)------

これ(「さくや」に登場した巨大化け猫)モデルの猫っているんですか?ひょっとして。
我が家の猫全部混ぜたやつはいるよ。でもだいたいほら、日本猫だから、三毛猫とか。
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「さくや」大成功おめでとうございました。
ほんとに大成功かどうか俺にはちょっとよくわかんないんですけどね。
大成功じゃないですか。
おかげさまで。今月末から香港で上映されるんですけど。
アメリカはまだ決まってなくって、香港、台湾が決まってて、 あとフィリピン…東南アジアが最初で。
来年映画祭出品して、それでヨーロッパ圏とかいくのかな。
だいたい日本映画のそういった作品ってその後はビデオですよね、ほとんどね。

ちなみにフィリピン版は英語ですか?
えっとね、今、広東語版のダビングが出来上がってて。
広東語で英語字幕のと英語吹き替えのと2種類プリント作るみたいね。
もう出来てるはずなんだけど。

海外では、基本的に吹き替え版っていう形で上映されるんですか?
ええ、基本的に吹き替えですね。
それは向こうで作業してっていう形で?
そうですね、向こうで作業して…もう出来上がってるという話なんですが。
それは監督はノータッチなんですか?
一応今回できてるやつで問題があれば変えちゃっていいですよ、という話をしたんですけど、
でもほとんど変えずに問題なかったみたい。
けっこうワーナーなんかはスクリーミングで観客に見せてリサーチしてやるみたいなんだけど、
そんなに変えずに済んだみたい。細かいことはあんまりよく知らないんだよ(笑)。

海外で「かっぱ」とかっていう概念は通じるんですか?
うんだから、そういう補足説明みたいなものをナレーションで
入れたほうがいいんじゃないっていうのは言ったんだけどね。皿があってとかさ。
最後頭の皿で跳ね返すわけだからさ。そのへんはでもワーナーがちゃんとやるんじゃない?

僕見に行ったんですけど、すごい面白かったです。
でも昔の映画のテイストだもんね。
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いやでもああいうのって最近は少ないっていう頭があって見に行ったんで、
見てる間ほんとにどきどきが止まらなくて…。
見終わってすごい「気持ち良かった」っていうのがあって、
半日くらいずっと「さくや」の話しちゃったりとか、そんな感じになっちゃって。

そう言っていただければ…。
でもぼくら子供の頃ってそういう子供向けのものがたくさんあったんだよね。
そういう子供向け映画を最初っから狙ってたっていう。「ワタリ」とか「赤影」とかね。
もっと昔になると「極東映画」とかね、
大都映画なんかの一週間単位でやるような活劇ものがけっこうあって。
なんかそういうのがいいなと思って。
あんまり気張ってもねえ、お金もないし(笑)。

お金がないという印象は「さくや」には正直なかったですよ。
なんか向こうでは100億とかが当り前でしょ?製作費が。
カメラテストで2億ぐらい使うってことですよね。

ジャックニコルソンが「バットマン」の製作費半分持っていったっていう話は有名ですよね。
そうみたいね。うちは一応2人とも主役は新人でやったんで(笑)。
安く上がってるんだと思うけどね、今回は。
「怪」のほうがキャスティングはすごい豪華ですよね。
うちも豪華な方にも出て頂いてるけど、日数少なめで。

でも「さくや」なんか20代ぐらいの視点から見るとすごい豪華な感じがしますけど。
安藤希ちゃんとか。

安藤希ちゃん、最初知らなかったからねえ。「ガメラ3」やってたにも関わらず。
後で言われてああそうだなあっていう。
もともと女の子主役っていう企画じゃなかったもんで。
ちょっとそのへんはアイドルとかに疎いもんで。

じゃああんまり意識せずに、決めた後で気づいたっていう感じなんですか?
まあ一応オーディションで50人くらいの女の子に会わされて、
最終的には彼女を選んだんだけど。
で、一応「ガメラ」の子が入ってるよって話は聞かされてたんだけど。
後で見て「ここに出てた子かあ」って。「ガメラ3」では印象が薄かったもんで。
まあでも安藤でよかったかなと思いますけどね、ほんとに。

一番のポイントはどこだったんですか?
まあなんか散々インタビューで聞かれたけど、目が印象的でね。
50人いた中で一番目つきが悪いというか態度の悪い感じのやつがいるなあと思って。
なんかけっこう地がそういう子だったらしいんで。最近だいぶ変わってきたけどね。
嫌みったれたこと言うとすぐ怒るっていうか、けっこうなんかそのへんが良くて。
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様になってましたよね、刀持ったところなんか。
実質クランクイン前の2週間くらいなんですけどね、練習したのは。
でもそれでもやるのとやらないのとでは違うし。
女の子だと昔から「くの一」とか忍刀っていうか、短い刀とか使うっていう決まりがあるみたいなんだけど、
今回「さくや」の場合は長太刀をちゃんと使いたかったから。
縦横無尽に振れなくっても構えたときに様になるくらいにはしておかないと。
でも京都の連中にしてみたらねえ、京都は時代劇専門の人たちだから、
「こんなんで大丈夫なんかいな」みたいな感じではあったみたいだけど。そこはだましだまし。

その撮影とまったく同時期に「怪」のスタッフとして参加されてたんですよね?
本来は時期的にダブらないはずだったんですけどね。
まあ僕は「さくや」の撮影が終わってから「怪」のほうの作り物とかちょっとやってたぐらいなんでそんなには…。

おぎんの人形とか作られたんですよね?
あれはね、1話から『出物』として決まってたんで、それは去年のうちに用意出来てたんだけど。
「赤面ゑびす」のちょっとしたミイラとか、「隠神だぬき」の辻斬りの生首とか、
ちょこちょこと作ったり。「怪」みたいなタイプの時代劇だと特に、
ちょっとした仕掛けで腕が飛んだりとか細かいのがいろいろあって。

3話の「赤面ゑびす」で盗賊の腕が落ちたりとかいうシーンも原口さんですよね?
だいたいまあ、そういうのはうちで。けっこう前の日、いや、1週間ぐらい前に、
「こんなんするんやけど…」みたいな。「あるかなあ?」っていう。「あいよ」ってかんじで。

2話目の地獄のシーンとかもそうじゃないですか?
ああ、あれは前に「地獄」っていう映画で作ったぬいぐるみがあったんでそれをまんま使って。
前にやった「地獄」よりも地獄のセットは豪華でしたけどね(笑)。

でもああいうセットってどうやって作るものなんですか?
それは京都の撮影所が昔ながらの土で出来てて、セットの床がコンクリートじゃないんですよね。
だからすごい掘って三途の川作ったりね。
時代劇って地面がコンクリートだったりすることがありえないんで、
もともと昔は撮影所自体がみんな土間だったんだけど、
今はとくに東京の撮影所なんかは土間のところは少ないですね。日活にちょっとあるくらいで。
今東映は土間ないもんね。アスファルトになっててね。

じゃあアスファルトの上に土を敷いて撮影したりするんですか?
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まあそういう『野面』作る時はね。
でも京都のもっとすごい所は、カメラが入れない時に地面を掘っちゃって、
カメラの方を地面の中に入れてアオリ撮ったりとか。

そういうカメラ専用の穴が最初からあるわけじゃないんですか?
いや、そん時にみんなこう、ツルハシ持って(笑)。時代劇ならではですよね。
「怪」の造形に関しては全般的に関わってという感じですか?
まあ、出物に関してはね。
でも4話なんかでは「さくや」で用意した妖怪も使いましたから(笑)、
ほんとに嘘偽りなく兄弟作品なんです。
これですこし妖怪時代劇が盛り上がったかな〜?みたいな。
ほんとかな?(笑)

一応僕としては「怪」と「さくや」が時代劇新時代を切り開く!ってことであちこちで
書きまくったりしてるんですけど。そういう意味で「怪」と「さくや」は
非常に重要な鍵を握った作品だと思ってるんです。

時代劇のコアなファンの人たちにとっては、
「さくや」なんかきっと物足りない作品だと思うんですよ、時代劇としてはね。
そのへんはあえて、時代劇ってものに素人でも大丈夫っていうところしか狙ってないんでね、
「さくや」の場合は。ここ最近の「梟の城」から始まる一連の流れから言えば、
時代劇としてはゆるいですよね、「さくや」が一番ね。
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でも「さくや」を見て、時代劇に興味を持つっていう人は多いと思います、子供も素人も含めて。
僕なんかはそっちを狙って。むしろ時代劇としてコアっていうかマニアック過ぎると子供がついてこないだろうっていう。
そのへん含めても「怪」と「さくや」は両輪というか、かぶってないっていう。

年齢層ずらしてみたいな感じですよね?
できれば小学校の時に「ワタリ」とか「赤影」とか見たような感じっていうか、
近年だと「ジパング」とか何本かあるんですけどね、「タオの月」とか「東方見聞録」とか。

「さくや」の撮影日数はどのくらいだったんですか?
35日(笑)。「怪」も3週間ぐらいだよね?小物とか入れて大体3週間くらい。
かなり厳しい戦いではあった。
その前に東北新社とキングレコードで「くノ一忍法帳」っていうスーパー時代劇のシリーズがVシネマであって、
結構それがつないでる要素も大きいですよね。

京都映画さんはあれがあったノウハウっていうのがすごいあるんでしょうね。
うーん。タイトに仕上げなきゃいけないっていうのがけっこうあって…
一応成果は出してますよね、あれはね。

京都撮影所と東京の撮影所の違いっていうのは、ありましたか?もうさんざんお話されてるとは思うんですけども。
ただ、僕らが今伝えようとしているインターネットのユーザーの中では、
やっぱりその差がわからないという方がけっこういらっしゃるんです。
「笑う犬」みたいな、目張りがキツイ先生がいて、イヤミっぽいメイクさんとかがいて、
みたいなイメージしかないという感じだったり。

そのへんはでも、逆な言い方すると、今どきの人たちも古いんだよね、感覚がね。
だからその昔の『御大』のイメージですよね。今そんなのってないでしょうしね。
だから例えば「怪」で酒井監督が監督してて、酒井監督はもともと生粋の京都の監督さんだから。
で、酒井監督が38才?39才?で僕が40才で。
僕は監督を生業にはしてないけどもまあ、東京でやってる原口智生が東京から京都に行って、
結果的にはだから東京と京都って細かいニュアンスはもちろん違うんだけれども、あんまり関係ないんですよね。
というのは京都映画も今「怪」の2話3話のカメラマンの渡辺さんとか、「さくや」のカメラマンの江原さんとか、
京都映画のスタッフも若いスタッフがもう出てきてるんですよ。
大御所の石原さん、中島さんについてた人たちが今、技師になり始めてるんで。
で、やっぱ考え方なんかは、僕なんかはとくに隔たりを感じないっていう。
だから京都と東京の違いだけで語ると、京都の方は昔ながらのとか、
目張りのきついメイクをするとかそういうニュアンスはあるんでしょうけど、でも違いは実はないっていうのは、
その江原さん、渡辺さんの世代と東京でやってる僕らの世代が一緒に仕事する分には、
そういう隔たりはもう世代的にないっていうことなんですね。
監督も酒井監督みたいな同年代の人とか京都でやってて。
ましてや、世代的にも、酒井監督なんかはまあ、趣味人で
こういう怪奇ものとか妖怪ものとか好きだっていうのはもちろんあるんでしょうけど。
やっぱりそういう人たちがいて東京でわれわれもその世代で、
時代劇でそういうもの作りましょうって言った時には、そんな弊害はないですけどね。
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じゃあその隔たりっていうのはとくに若いスタッフの間では意識されずに作業は進んでるっていうことですよね?
具体的に東京のやり方と京都のやり方の違いが出たりする場合は多少あるんだけれども、
それでコンセンサスをとるのにそんなに特に必要以上の苦労はないっていう。
コミュニケーションの問題で言ったらもう全然問題はないっていう。

京都と東京に意識の隔たりはないというお話ですけど、京都撮影所のいい所というか、
特徴的に感じた部分は何かありますか?

特徴としては『撮影所が稼働してる』ってことですよね。
それは東映の太秦もそうだし、松竹もそうなんだけれども。
東京の映画の作り方ってだいたい、例えば「リング」とか「ガメラ」とか作りますって言った時に、
ほとんどその、フリーのスタッフがその作品ごとに集まって、
で、撮影所が今使える作品もバジェットがかなり今厳しいんで、映画全般的に。
セットが使えない作品の場合ほとんどロケーションだけで撮る作品が、特に現代劇とか、今東京だと多いと思うんですよね。
まあ、その作品が1本終わってしまうともう「お疲れさま」でバラバラになってまた違う作品で仕事してっていう。
その時に同じスタッフがまた集まることってほとんど皆無に近いんですよ。
だから作品ごとにスタッフが集まって終わるとばらけちゃうっていう事を考えると、あんまり連携が難しいっていうか、
作品が終わるころにやっとコンセンサスがとれていい塩梅だけども撮影が終わるみたいな。
東京の映画の作り方って大ざっぱに言うとほとんどそういうことが主流なんですよ。
で、例えば京都映画とか東映京都のいい所っていうのは、やっぱり、撮影所にスタッフがちゃんといて、
そこで作品をやってるっていう、もう撮影所のスタッフの中でごく自然にコンセンサスがとれてるっていうことが。
だから前にあったあれを応用してみようとかっていう、
そういう意味では技術とか考え方のコンセンサスがずっとつながってるみたいな。
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それは撮影スピードの速さにつながりますよね?
スピードにも関係あるし、グレードにも関係してくるし。
何やってるかわかんない時間っていうのが比較的短いっていう。
だから今何をしようとしてるのかがみんなわかってて作業が進むっていうことの方が
映画にとっては大事だと思うんですけどね。
東京だとやっぱりそれを手探りで、初めてのスタッフ同士で探してるうちに作品が終わっちゃうこととか結構多いんですよ。

僕も一応、経験ってほどじゃないですけど、照明助手を昔ちょこっと
させてもらったことがあるんですけど、何を撮ってるかやっぱりさっぱりわかんなかったですね。

だからそういう意味では昔ながらの撮影所のいい所なんでしょうけどね、それが。
でもそれは昔ながらが良くないっていう言い方もよくされるんだけど、できあがりにとって良ければ別にいいわけであって。
撮影所があるってやっぱりすごく大きいんですよね。
「さくや」なんかこのバジェットの作品で、冬の京都でナイターが多くて、天気は最悪、雪は降るわ、雨は降るわ。
でもそうなった時もセットの中に暗幕張ってナイターなるべく撮っちゃおうみたいな。
やっぱり撮影所っていう器がないとそれはできないわけだから。
そのへんも考え方を変えるとすごく合理的なんですよ。

経験があって、先読みが出来て、みたいな所ですか?
まあそういうのもあって。
でもそれだけにあんまり安心してしまうと同じものしかできなくなっちゃうっていう危険性はあるんだけど。
そのへんはやっぱりスタッフが若いんで、
例えば「さくや」の場合はもう、特に後半、姫巫女が巨大化してからの切り返しの
似烏、猿鬼、さくやってほとんど黒バックばっかしなんだよね、あれ。

黒バックでずっとやってたんですか?
ほとんどもう、黒幕の前で。たまにちょっと飾り物やラメ物入れるくらいで。
大半はあの、今度ご覧になる機会があったら、巨大化してからの本編側の受けは、
ほとんど抜けが黒しかないのは見てればよくわかりますよ(笑)。
ただそういう時にいいのは、やっぱり江原さんとか京都映画のスタッフの方が、
「いくら天気が悪いからといって黒バックだけでいくのはあぶないんじゃないか」ってことを言ってくれるんですよね。
そこがいい所で。それでもやっちゃったんだけど(笑)。
でも、編集の時に樋口ちゃんのほうの特撮カットとカットバックするとそれがかえってよかったりみたいな。
あとそれでもそれをおしてやらないとスケジュール的に予算的に、はまらなかったりみたいなこともあったんだけど。
今回そういう意味ではそれがいい方向に出てる。東京帰ってきて仕上げやってる最中は
ラッシュで「こんな黒バックばっかりで大丈夫なのか」ってさんざん言われたんですけどね。
でもあれはやっぱりスタジオで黒バックで撮るっていう状況がなかったらできなかったよね、
きっと。 スケジュールもオーバーしてたし、予算的にはパンクしてましたよね、きっとね。

「さくや」を撮るには、京都映画っていう伝統のあるところで、
その中でも若いスタッフでっていう今回の条件がうまい所に固まったっていう感じですか?

そのへんは自分では、スタッフが誰とか、特撮の樋口ちゃんとやるんだとか、
特撮の母体はじゃあ東京の特撮研究所で東京で撮ってみたいな、
それで京都映画の江原さん、ハノさん達とやるんだっていう、
一応勝算を考えたうえでそういう組み合わせにしたつもりなんだけど。
東京でも「さくや」入る前にプロダクションでは、
「東京でもやれないことはないぞ」っていうことはさんざん言われたんですけどね。
実際まあ「サムライフィクション」とか「五条霊戦記」もそうなんだけど、
東京の母体だけで撮ってる作品もないことはないんで、
それはわかるんだけど、場所とか条件だけじゃないんですよね。















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そこにやっぱり江原さんっていう人間であったり京都映画のスタッフ達っていうのが、
『人ありき』だからやっぱり。
そのへんはけっこう勝算を持ってそういうシフトに。
「さくや」の場合はそのへんの組立から一応自分でやったんで、
やっぱり京都映画がなかったらこの映画はなかったなっていう。
もちろんそれは樋口ちゃん達やスタッフ全員がいなかったらできなかったんだけど。
やっぱりそのへんは時代劇だからっていうのが自分の中にあったんでしょうけどね。
「さくや」なんかの、出来上がった作品で
そういうアピールになればいいなっていう風には思うんだけども。
ただ映画界に対してどうとか、例えば映画の賞みたいなのがあったりとか、
そういう権威に対して作ってるわけじゃないんだよね。
一番は、今年の夏休みに子供だったあいつらが映画館に見に来て
時代劇のおもしろいものを見たかどうかっていう映画が
提供できるかどうかっていうのが僕の一番だったんで。
子供の『脳みそにキズをつける』っていう(笑)。

それは『妖怪』で。
そう、『妖怪』と『時代劇』で。



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